ドラマシリーズではミショーンたちとウィスパーズとの関係が発展しないままシーズン9が終わってしまいましたが、原作コミックでははるか先までストーリーが進行中です。
原作では各コミュニティとウィスパーズは敵対関係となって、ついに戦争となります。その終結まではすでに紹介しましたが、今回はその後のストーリーをまとめてみます。
ウォーキングデッドシーズン10以降のメインストーリーになるであろう原作の最新内容について紹介します。
まず、ドラマではリックがいない時点で原作とは大きく違っているのですが、ひとまず原作の内容についてあらすじをお伝えします。
新しいコミュニティの存在
リックたちはアレクサンドリアを襲ったウォーカーたちを何とか撃退。各コミュニティは平和を取り戻したものの、ウォーカーたちから受けたダメージがひどく、建物などの再建が急務となります。
ところがとりあえず表面上は協力体制を取るものの、リックは救世主の扱いを巡って、ドワイトやマギーたちの不信を招きます。特にマギーはリックがニーガンを相棒のように扱っているのが気に入りません。
しかもニーガンは自由にコミュニティの外を放浪。妻の墓参りを終えると納屋に捨てられていた野球バットを発見し、それに鉄条を巻き付けて新しい”ルシール”を作り上げます。もはや我慢の限界とばかり、その跡をつけていたマギーがニーガンの前に現れ、その頭に銃口を向けます。
しかしすっかり人柄の変わったニーガンは進んで死を受け入れようとするため、マギーは復讐心を失ってしまいます。死ぬ機会を逃したニーガンは涙にくれ、その後、わざわざ作り上げたルシールを燃やします。
リックはアンドレアの死によって精神的に落ち込むものの、アレクサンドリアの再建を後回しにはできません。資材の調達をどうするか悩んでいた時にセディクから思わぬ情報がもたらされます。「ユージーンがこっそりオハイオのコミュニティと連絡を取っている」というのです。
ロジータとの不仲に悩むユージーンは心を癒すために無線機でステファニーという女性と話していたのですが、リックにそれを隠していました。リックはユージーンを責め、ステファニーと自ら話を始めます。そしてお互いの交易を提案すると、ステファニーも直接会って話し合いをすることに同意します。
“州”
リックは町の再建のためにアレクサンドリアから離れられないため、ミショーン、ユージーン、マグナ、ユミコ、セディクの5人がオハイオへと出発。
そして彼らは途中立ち寄ったピッツバーグで、ジュアニータ・サンチェスという若い女性に出会います。彼女は廃墟となったアパートに住んでいました。自らをプリンセスと呼ぶジュアニータは開けっぴろげで裏表がなく、進んでオハイオまで同行することになります。
数週間かかってミショーンたちがステファニーたちとの会合場所である列車の車両基地までやってくると、突然「武器を捨てて手を上げろ」と声がし、眩しいライトが当てられます。
全員が命令に従うと、銃を構えた一団がミショーンたちを取り囲みました。驚いたことに彼らは「スター・ウォーズ」のストームトルーパーそっくりの格好をしています。
ユージーンはステファニーとの会話を求めますが、兵士たちは「彼女は”州”を代表するものではない」と答え、その要求を拒否。その代りに彼らの前に登場したのが、ランス・ホーンズビーという男でした。
ランスと兵士たちに見張られながらミショーン一行は車両基地を離れ、巨大なスタジアムに導かれます。ミショーンは「この中にコミュニティがあるのか?」と訊きますが、答えは「ノー」。
ランスによれば、スタジアムではコンサートやスポーツイベントが行われるとのことです。彼らの”州”には5000人もの住民がいると聞いて、アレクサンドリアの一行は驚愕します。
さらにスタジアムのそばには「失われた者の壁」という住民用の大きな掲示板が立っていました。そこには多くの写真が貼り付けてあります。それは”州”にたどり着くまでに行方知れずになった肉親や恋人や仲間の写真です。
それらを眺めていたユージーンはふと一枚の写真に気づき、ミショーンに知らせます。
それは昔のミショーンを写したもので、「私のママであるミショーンを知りませんか? 何か情報がありましたら、6番通りのパン屋エロディーまでお知らせ下さい」と書かれてありました。行方不明だった自分の娘が”州”にいることを知り、ミショーンは喜びの涙を流します。
パメラ・ミルトンの登場
ミショーンは一刻も早く娘のエロディーに会おうとランスに詰め寄りますが、彼はそれを許しません。やがて、一同はスタジアムの裏手の市街に入ります。そこにはテント張りの店舗が並び、大勢の人が歩いていました。
するとその中の一人が遠くからユージーンに声をかけます。それはユージーンが会話を交わしていたステファニーでした。勝手な行動を取ったことで彼女を咎めた後、ランスは一同を昔の銀行の建物に案内します。
そこで一同を迎えたのは、マクスウェル・ホーキンスという背広姿の男です。彼は一同にウォーカー出現前の職業を尋ねます。
ミショーンが「弁護士だった」と答えると、マクスウェルは彼女だけを奥の執務室へ連れて行きます。そこにはマクスウェルの上司らしい女性が、兵士たちに守られて待っていました。彼女の名前はパメラ・ミルトン。この”州”の知事とのことです。
パメラはこのコミュニティが世界に新しい秩序をもたらす存在だと語り、「あなたたちを歓迎する」とミショーンに告げます。耳障りの良い言葉にかえって警戒を強めるミショーンを、パメラは自らパン屋に案内。
そこでミショーンは久しぶりに娘であるエロディーに会い、泣きながら抱擁を交わします。2人はそのままエロディーの部屋へ。そこでミショーンは離れ離れになった後の生活を聞き、嬉し泣きにむせぶエロディーを慰めます。
ミショーンは仲間たちと合流し、娘が問題なく生活していることから「”州”を信頼する」と彼らに告げます。それを聞いたパメラは一同に武器を返し、ユージーンがステファニーと会うことも許可。彼らを歓待するため、しばらくここに滞在することを勧めます。
ところがパメラの息子であるセバスチャンがその場にやってきたことで、そんな和やかな雰囲気は吹き飛びます。甘やかされて育ったセバスチャンは礼儀知らずで、ユミコをいきなりデートに誘い、それを制止しようとしたマグナを突き飛ばします。
それを見たプリンセスがセバスチャンに槍を向け、周りの兵士たちと小競り合いに。ミショーンはプリンセスを落ち着かせようとしますが、聞く耳を持ちません。
軍の士官マーサー
そこへやってきたのが、”州”軍の士官であるマーサーです。彼がプリンセスに戦いをやめさせると、セバスチャンがミショーンたちを逮捕するように要求。しかも地面に倒れた彼を助けようとしたエロディーを平手打ちします。
これにはミショーンも気色ばみ、セバスチャンに対して日本刀を抜こうと身構えます。しかしエロディーが制止するために何とか怒りを抑制。どうやらパメラと息子のセバスチャンは特権階級に属し、わがままな行動をとってもお咎め無しのようです。
エロディーの部屋に落ち着いた一同に、セディクが「マーサーと仲間の兵士の会話を偶然立ち聞きした」と告げます。兵士たちは”州”の体制に不満を持っており、パメラを知事の地位から引きずり下ろそうと考えているようです。
エロディーとステファニーは、マーサーがそんなことを言ったというのが信じられません。彼は地位も高く、現状に満足している様子だからです。
彼女たちによると、”州”ではウォーカー出現前の職業によって人々の社会的地位が決まっており、仕事もそれによって割り当てられます。収入もそれに応じて支払われました。ただ毎年上位の仕事にキャリアアップすることは可能で、皆はそれを目標に働いているのです。
階級社会が形成されていることにミショーンは驚き、マグナはそれを聞いて怒りを見せます。これでは世界が昔のように持つものと持たざるものに二分されてしまいます。ミショーンは社会が発展すれば地位の違いが生まれることは仕方がない、と延べ、とりあえずマグナを落ち着かせます。
それから数日間、カフェでくつろいだり、スタジアムでアメリカン・フットボールの試合を観戦したりして”州”の生活を体験した後、一同はパメラ、マクスウェル、マーサー、護衛の兵士たちを連れてアレクサンドリアに戻ることになります。
ところが娘のエロディーから離れたくないミショーンは”州”に留まることを決意。日本刀をユージーンに預け、リックに渡すように頼みます。
パメラとリック
一同は長い旅路を経てアレクサンドリアに到着します。余所者の姿を見てドワイトたちが威嚇的な行動を取りますが、リックはそれを押さえて友好的にパメラたちを迎えます。
リックはパメラだけを連れてアレクサンドリア内を案内しながら一種の首脳会談をおこない、お互いのコミュニティの特徴を腹蔵なく述べ合います。
その後、2人はそれぞれの仲間と合流。リックたちはアレクサンドリアの周辺をガイドします。ところが、その途中でウォーカーの集団に遭遇。リック、ドワイト、プリンセスがその群れを誘導する作戦に、マーサーとその部下たちも参加することになります。
作戦は問題なく進行しますが、パメラがその様子を見学するために群れに近づいたことで調子が狂います。プリンセスが落馬し、それを助けようとしてマーサーたちが次々にウォーカーを掃討。リックたちも一緒になってウォーカーを倒していきます。
続いてリックはパメラ一行をサンクチュアリ、キングダム、ヒルトップへと案内。各コミュニティのリーダーたちはリックを交えてパメラと話し合い、”州”との交易に同意します。そして、そのままリックはパメラに誘われて、ユージーン、ドワイトらと共に”州”へ直行することになります。
一方、”州”の方では、それまでの平穏な生活を覆す出来事が勃発。きっかけは妻を寝取られた男性が相手の兵士と口論となり、その兵士の仲間に殴る蹴るの暴行を受けたことです。
その男性はまもなく死亡。このことが兵士に対して不満を感じていた群衆の心に火をつけました。通りで暴動が勃発し、兵士と住民の戦いが始まります。
暴動が最高潮に達した時、ちょうどリックやパメラたちが”州”に到着。彼らは目の前の光景に驚愕します。通りではミショーンは知り合いの兵士を助けようとして住民から殴られ、命の危険にさらされます。しかし、マーサーに間一髪のところを救われ、暴動も鎮圧。とりあえず町には平穏さが戻ります。
やがて裁判がおこなわれ、ランスの依頼によってミショーンが兵士側の弁護士として法廷に立ちます。リックは体制側に組み込まれそうになっているミショーンのことを心配しますが、彼女はエロディーとの生活を守るためにも権力におもねるつもりでした。
ドワイトの死
ミショーンのことを除けば、リックは概ね”州”の状態に満足しますが、ドワイトは別でした。彼の目には町の平和は見せかけのもので、住民たちは兵士たちの暴力に萎縮しながら生きているとしか思えません。
イライラしていたドワイトは通りでわざと兵士に突っかかり、留置場に入れられてしまいます。面会にやってきたリックに対して、ドワイトは”州”を乗っ取ろうと提案しますが、リックは「制度を変えるとしても戦争は駄目だ」と諌めて相手にしません。
リックが留置場から出ていこうとすると、マーサーが待ち構えていました。彼はパメラに不満なのか、「あなたこそ”州”を治めるべき人物だ」とリックに告げます。リックがそのことをミショーンに話すと、彼女も”州”のシステムには問題があるが、暴力に訴えるのは間違っている、という考えでした。
ドワイトは一旦釈放されるものの、パメラがウォーカー狩りを娯楽にしていることを知ってさらに激怒。しかし、その敵愾心をパメラに感づかれ、”州”を出ていくように勧告されます。
ミショーンはパメラと話し合おうとしますが、はねつけられ、為す術もありません。追い詰められたドワイトが銃を構えたため、仕方なくその場にいたリックが彼を撃ち殺します。
やがて反乱を画策していることがばれ、マーサーはランスたちによって逮捕されます。しかし、ドワイトと一緒に”州”に来ていたローラが兵士のジョージを説得。一緒にマーサーを脱獄させます。
リックは脱獄を知ってパメラのところへ駆けつけます。反乱が始まることは間違いないため、彼女を街から逃がすつもりでした。最初は抵抗していたパメラですが、リックに説得されてセバスチャン、マクスウェルとともに森へ逃げます。
そこへマグナの依頼でリックの様子を見に来たセディク、カール、ジーサス、アーロン、ダンテが到着。一旦”州”を抜け出ていたプリンセスも一緒でした。リックはパメラたちのエスコートを彼らに任せて再び街に戻り、マーサーと話し合いをします。リックはあくまで反乱を収めようとするのですが、マーサーは再びリックにリーダーになってくれるよう求めます。
まとめ
血なまぐさかったウィスパーズとの戦いに比べ、洗練された政治劇となっています。新しいコミュニティである”州”では以前の文明と変わらない生活が営まれていますが、階級社会への不満が高まっているようです。リックは体制を維持する側に回るわけですが、それがどう転ぶかは分かりません。
テレビシリーズではリックに加えてミショーンも退場するようなので、このプロットがどのように脚色化されるのでしょうか。かなり雰囲気の違ったドラマ展開が楽しめるかもしれません。
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